恋愛恐怖病

これ、岸田国士の戯曲のタイトル。
「恋愛恐怖」⇒「恐怖病」です。

(岸田国士は岸田今日子さんの父上)

稽古場に置いてあった全集の第1巻。

私の中では殆ど古典に近い作家のこの題名。
「恋愛恐怖症」
書かれたのは大正15年。

いまどきの雑誌じゃないんだからさ、とおもいつつ
一体どんな作品なのかと興味津々でこっそり一晩だけ持ち帰って
約30分で読破(短編です)。

渋い!そして新しい!そしてイカシテル!
言葉が、関係性が。
芝居のスタイルが。

凄くベーシックなスタイルの中に
すべてが凝縮されているのです。

登場人物はお金持ち風の大学生達(と思われる)

一見友達同士と思われる男女が海岸に居て
友人である自分達の関係性について語るのだけど
お互いに好意を抱いていて
しかし打ち明けられない。
女のほうは非常に魅力的でちょっと変人。
好意を抱かれるとその場限り絶交する。
絶交された人は累々と居るらしい。

しかし彼女は自尊心から
自分から好意を抱いた相手に
ストレートに好意を打ち明けられない。

男も好意を受け入れることができない。

しかし二人の会話の端々には
あらゆる愛情の表現が盛り込まれている。

「僕はあなたなしには、生きて行けなくなるでしょう」
「いいぢゃありませんか」
「いいぢゃありませんか・・・・。(間)いいぢゃありませんか・・・・・。(間)ちっともよくありませんよ」

「僕だけに可笑しいことが、この世に一つでもあれば、それはなんと得意ではないか」

「人間は男でも女でも、真剣になると平凡よ」

珠玉の言葉はもっともっと沢山!

とても大学生の会話とは思えないし
今の社会人だってこんな会話しない。

(60代の映画関係者ならするかも・・・・・。)

ロミオとジュリエットよりも扇情的である。

すごいなあ。
日本語って本当に情緒にあふれてる。
会話も知性的で美しい。
そして登場人物はみな正直。

旧かな使いの戯曲が上に
養成所あたりでしかいまや上演されなくなっている岸田戯曲。

私は新劇とは無縁で芝居の世界に入ったので
作品に向き合ったのは今回(新国立劇場)が初めて。嗚呼。
不勉強を恥じ入るばかりです。

稽古場でも、新しい発見を日々見せてもらっているのだけど
本当に凄い作家なのです。これが書かれたのは岸田国士が35歳くらい。

言葉は時代と共に変わるものだけど
魂とか身体性とか、人としての基本とか
DNAのアイデンティティは宝物のように大事にしなくては。
と思います。




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by chutaro116 | 2005-10-20 02:34 | 芝居

猫、表現、そして日々のこと。


by chutaro116
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